2023年和龍美写真展・巡回展 札幌が始まります。

4月1日より、茶廊法邑カフェギャラリーにて写真展「なかいま-中今-」が開催となります。

6月小樽、11月東京と3拠点を回る個展が、いよいよスタートします。

小さな土手を定点撮影し続けた作品35点の掲示と600枚のプリントを会場で発表致します。

この土手をはじめて撮ったのは、2017年10月25日のことでした。

秋晴れの青い空に、長く伸びた薄の枯れ色、田舎の景色。これといって魅力的な被写体とは思えないこの土手を、どういう訳でしょう、もう5年もの間、日課のように見上げているではありませんか。その枚数も、とうとう1000を超えました。

必ず巡りくる季節のように、人生はいつまでも続くもの、"明日、終わる"、そんな可能性など、これっぽっちも考えずに生きた私が、卵巣癌を患い闘病生活を余儀なくされたのは5年前の夏のことでした。治療の合間に撮り始めたこの土手は、今日の日のスタンプラリーのようなもの、その瞬間を生きていた証のようなものだったと振り返ります。

一般的に、癌では術後5年間再発しなければ「完治」とされています。

恐怖と悲しみに負けぬように、強くあれと鼓舞してきた月日。思い残すことのないようにと突き進んだ日々。術後5年、その日を待ちながら、この土手を撮ってきました。

一枚の写真の中には、その瞬間の有様と同時に無限の過去が写っています。それは永遠の未来へと続く、たった一度だけの通過点でもあります。

私が表現したいと思ってきたもののすべてが、この土手という凡庸な景色の中にありました。

今回は、ほとんど在廊の予定はございません。作品でせいいっぱいのおもてなしを。

どうぞ、作品と対話をゆっくりとお楽しみください。

どれほどの時がその瞬間をつくり、どれほどの時がその上を流れ、続いていくのか。

この作品群に、永遠の時に抱かれることの、深い安らぎを感じていただけたなら幸いです。

茶廊法邑・カフェスペース

https://houmura.jimdofree.com/

2023年4月1日(土)~9日(日)

10:00-18:00 (最終日16:00)

※4日火曜日休廊

札幌市東区本町1条1丁目8-27 

011-785-3607

ギャラリースペースでは画家の楓月まなみさんが個展を開催されています。

コラボレーション企画として、「色・移ろい」も同時致します。