あゝ、まったく君は、最悪だ。
とにかく君はカッコよくて、初めからヒーローになる才能を持ち、いつだって自らの判断で道を歩み進んでいった。
そう、生まれた時からヒーローになるべき道を歩んでいたんだ。

・・・・・すべてのカモメにとって、重要なのは飛ぶことではなく、食べることだった。だが、この風変わりなカモメ、ジョナサン・リヴィングストンにとって重要なのは、食べることによりも飛ぶことそれ自体だったのだ。その他のどんなことよりも、彼は飛ぶことが好きだった。

たったそれだけの理由で!

だけどジョナサン、どれだけのカモメが、君のように生きられたと思う?

君がいたために、エサをとるために生きるカモメが、どんなに薄っぺらにみえてしまったか!
僕自身が、どれほどちっぽけであったか!

2021年から、ジョナサンへ

ジョナサン、僕の負けだ。
認めなくてはいけない。

・・・・われわれは自由になれる!いかに飛ぶかを学ぶことができる!

君はどんな時も、僕の最高のヒーローだった。

※1998年。
バブル崩壊後、徐々に回復し始めていた日本経済も消費税引き上げとアジア通貨危機、さらには、不良債権処理の不手際による金融関連の破綻によって急速に冷え込んでいった。有効求人倍率は、史上最悪の0.9となり、新卒者の就職は困難で、フリーターや派遣など非正規雇用が急増、大きな社会問題となる。
この年、私は大学を卒業し、混沌とした社会、荒れた海原へと放たれた。